本記事では、地震対策で家具の固定・転倒防止が必要な理由、効果が高い順の固定方法、賃貸でも穴を開けずにできるやり方、家具・家電別の対策、そしてやりがちな失敗まで徹底解説します。
「背の高い家具が倒れてこないか不安」「賃貸だから壁に穴を開けられない」という方は、ぜひ最後まで読んでください。

この記事は、こんな人にこそ読んでほしいぜ!
- 地震で家具が倒れてこないか不安な人
- 家具の固定を何から始めればいいか分からない人
- 賃貸で壁に穴を開けられず困っている人
なぜ地震対策で「家具の固定・転倒防止」が必要なの?

家具の固定は、地震対策の中でも最優先で取り組むべき備えです。
なぜなら、近年の大きな地震では、ケガをした人のおよそ30〜50%が家具類の転倒・落下・移動によるものだからです。これは東京消防庁などの調査でも繰り返し指摘されています。
2024年1月の能登半島地震でも、直接死の約4割が「圧死」でした。石川県の試算では、家具固定率を100%にすると死者数を約6割減らせるとされています。「家具を固定するだけ」で、これほど大きな差が生まれるのです。
つまり、揺れそのものより「倒れてきた家具」でケガをする人がとても多いのです。水や食料の備蓄と同じくらい、家具の固定は大切な命を守る対策だと理解してください。
倒れた家具は「凶器」になり、逃げ道もふさぐ
固定していない家具は、地震のときに2つの危険を生みます。
1つ目は、タンスや本棚の下敷きになる危険です。背の高い家具が倒れれば、大人でも下敷きになり身動きが取れなくなります。2つ目は、倒れた家具が出入り口や廊下をふさぎ、逃げ遅れる危険です。特に就寝中は逃げる余裕がないため、寝室の対策は最重要になります。
固定の前に「家具を減らす・置き方を見直す」
固定グッズを買う前に、まずは家具そのものを見直しましょう。
ポイントは3つです。寝室や出入り口の近くに背の高い家具を置かないこと。収納を工夫して家具の数を減らすこと。そして、重い物は下の段、軽い物は上の段に収納し、重心を低くして倒れにくくすることです。置き方を変えるだけでも、被害はぐっと小さくできます。
家具固定を含む地震対策の全体像は、以下の記事で解説しています。
家具の転倒防止の方法を効果が高い順に解説【一覧】

家具の固定方法は、L字金具で壁の下地にネジ止めするのが最も効果的です。壁に穴を開けられない場合は、突っ張り棒(ポール式)とストッパー・マットの「合わせ技」で、L字金具に匹敵する効果が得られます。
まずは効果の高い順に、代表的な方法を整理します。
- ①L字金具(壁の下地にネジ止め)…最も確実。持ち家向き
- ②突っ張り棒+ストッパー/マットの合わせ技…L字金具に匹敵。賃貸の本命
- ③突っ張り棒(ポール式)単体…手軽だが、単体では効果が落ちる
- ④耐震マット・耐震ジェル…家電や小物の「ずれ・転倒」防止に
①L字金具で壁の下地に固定する(最も効果が高い)

最も効果が高いのは、L字金具で家具と壁をネジ止めする方法です。
ただし、ネジを効かせる相手が重要です。石こうボードだけにネジを打っても、地震の力で簡単に抜けてしまいます。必ず壁の中の下地(柱・間柱・胴縁)にネジを届かせることが条件です(下地の見つけ方はすぐ下で解説します)。L字金具は家具の両端に2個以上取り付けると安定します。
L字金具の前に!壁の下地(柱・間柱)の見つけ方
L字金具の効果を最大限に活かすには、壁の中の下地にネジを届かせることが絶対条件です。下地を見つける方法は主に3つあります。
- 下地センサー(電子式)…壁にあてて滑らせるだけで下地の位置をランプや音で知らせてくれます。精度が高く初心者にもおすすめです
- 針式の下地探し(「どこ太」など)…細い針を壁に刺して、手応えで下地を判断します。針穴はほとんど目立ちません
- 磁石タイプ…壁の中のネジや金属下地に磁石が反応します。簡易的ですが手軽です
一般的な木造住宅では、間柱は303mm〜455mmの間隔で入っています。1か所見つけたら、そこから定規で測ると他の下地も見つけやすくなります。
②突っ張り棒(耐震ポール)の正しい使い方

突っ張り棒は、家具と天井の間につっぱって倒れを防ぐ手軽な方法です。賃貸でも使えますが、効果を出すには正しい設置がとても重要です。
ポイントは4つです。家具の奥(壁側)に取り付けること。必ず2本セットで使うこと。天井側も下地のある強い場所を選ぶこと。そして、ポールを伸ばしすぎず、家具と天井のすき間が小さい場所に使うことです。すき間が大きいと突っ張る力が弱くなります。
③ストッパー式とマット式の「合わせ技」
突っ張り棒だけでは不安なときは、底面の対策と組み合わせる「合わせ技」が効果的です。
具体的には、家具の前下にストッパー式器具やマットを敷いて「踏ん張ってすべらない」状態を作り、上は突っ張り棒で「すき間をなくす」という2段構えです。この合わせ技は、最も効果の高いL字金具に匹敵する強さになるとされています。穴を開けたくない人ほど、この方法を覚えておきましょう。
④耐震マット・耐震ジェル(家電・小物に)

テレビや電子レンジなど、ネジ止めできない家電には耐震マット(耐震ジェル)が便利です。
底面に貼るだけで、揺れによる「ずれ」や「落下」を防げます。透明で目立たず、貼り直しもしやすいのが利点です。ただし、重い背の高い家具には単体だと力不足なので、補助的に使うものと考えてください。
賃貸でも穴を開けずに家具を固定する方法

賃貸住宅でも、壁に穴を開けずにしっかり家具を固定できます。
結論として、「突っ張り棒+ストッパー/マット」の合わせ技が賃貸の本命です。この組み合わせなら、ネジを使わずにL字金具並みの効果が期待できます。退去時の原状回復も心配いりません。
「ポール式+ストッパー/マット」が賃貸の最適解
賃貸でまず試したいのが、前述の合わせ技です。
突っ張り棒は工具なしで設置でき、ストッパーやマットも敷くだけです。どちらも壁に穴を開けず、家具にも傷をつけません。費用も数千円で済むため、今日からでも始められます。
粘着テープ式のL字金具・転倒防止ベルト
もう少し固定感がほしいときは、粘着テープ式のL字金具や転倒防止ベルトが選択肢になります。
強力な粘着シートで家具と壁をつなぐタイプで、ネジを使いません。注意点は1つ、取り付け面の汚れやホコリを拭き取ってから貼ることです。
面が汚れていると粘着力が落ち、いざというとき外れてしまいます。100均やホームセンターでも手に入るグッズなので、まずは身近なところから揃えてみましょう。

賃貸でも「合わせ技」ならL字金具並みに効くぜ。穴が開けられないからって、あきらめないでくれ!
退去時の原状回復もこわくない
賃貸で気になるのが、退去時の原状回復です。突っ張り棒・耐震マット・ストッパーは取り外すだけで原状回復できるので心配いりません。
粘着テープ式のグッズを使うときは、先に養生テープ(マスキングテープ)を壁に貼り、その上から粘着グッズを貼ると壁紙を傷めずに剥がせます。念のため、目立たない場所でテストしてから本番に使うと安心です。
賃貸の地震対策をさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
家具・家電別の転倒防止対策

転倒防止のコツは、家具や家電の種類によって少しずつ変わります。
本棚・タンス・食器棚(背の高い家具)
背の高い家具は、最優先で固定すべき対象です。L字金具か合わせ技で本体を固定したうえで、扉には耐震ラッチ、引き出しには飛び出し防止を付けましょう。耐震ラッチとは、揺れを感じると自動で扉をロックし、中身の飛び出しを防ぐ金具のことです。特に食器棚は、割れた食器が飛び出すと避難の妨げになります。
冷蔵庫・テレビ・電子レンジ
家電は、転倒防止ベルトと耐震マットの組み合わせが基本です。冷蔵庫は背面の転倒防止ベルトで壁とつなぎ、テレビや電子レンジは底面に耐震マットを貼ります。重い家電が飛んでくると大ケガにつながるため、軽視できません。
窓ガラス・食器棚のガラスは飛散防止フィルム
見落としがちなのが、ガラスの飛散対策です。飛散防止フィルムを窓や食器棚のガラス面に貼っておくと、割れても破片が飛び散りにくくなります。停電した暗い室内で、割れたガラスを踏んでケガをするのを防ぐためにも有効です。
キャスター付き家具はロック+下皿
キャスター付きの家具は、揺れで部屋の中を走り回るおそれがあります。普段からキャスターをロックし、可能なら下皿(受け皿)を敷いて動きを止めておきましょう。使わないときもロックを習慣にしておくと安心です。
やりがちな失敗・効果が出ない付け方【要注意】

家具固定は、付け方を間違えると効果がほとんどなくなります。よくある失敗を知って、確実に防ぎましょう。
突っ張り棒のやりがちなNG
突っ張り棒は、間違った使い方をすると地震では役に立ちません。代表的なNGは次のとおりです。
- 普通の(耐震用でない)突っ張り棒を使う…揺れで簡単に外れます
- 家具の手前側に取り付ける…効果が半減します。必ず奥(壁側)に
- 1本だけで済ませる…バランスが悪いので、力が偏って倒れやすくなります。2本セットで
- 天井の弱い場所に付ける…下地のない仕上材に突っ張り棒を設置すると、天井が変形することがあります。必ず突っ張り棒をつけた時に天井が凹んでないか確かめるようにしましょう。
天井側が弱い場合は、家具より幅の広い板(あて板)をはさんで力を分散させると安全です。
マット・粘着グッズのやりがちなNG
マットや粘着式のグッズにも、効きにくくなる条件があります。
耐震マットや滑り止めは、畳やカーペットの上では効果が出にくい点に注意してください。フローリングなど平らで固い面で本来の力を発揮します。また粘着式のグッズは、前述のとおり取り付け面の汚れを拭き取ってから貼るのが鉄則です。これを守らないと、いざというとき外れてしまいます。
付けっぱなしは危険!定期点検のすすめ
家具固定グッズは、付けたら終わりではありません。年に1〜2回は点検しましょう。
- 突っ張り棒…緩んでいないか手で触って確認し、ぐらつくなら締め直す
- 粘着テープ式…端がめくれていないかチェックし、劣化していたら貼り替える
- 耐震マット…メーカー推奨の交換目安は5〜7年。硬くなっていたら買い替える
防災の日(9月1日)や年末の大掃除のタイミングで、家族みんなで点検する習慣をつけるのがおすすめです。
家具固定についてよくある質問(FAQ)
Q. 突っ張り棒だけで地震に耐えられる?
突っ張り棒だけでも一定の効果はありますが、底面のストッパーやマットとの「合わせ技」にすると、L字金具に匹敵する強さになります。できれば合わせ技で設置しましょう。
Q. 自治体の助成金や無料取り付けサービスはある?
はい。多くの自治体が家具転倒防止器具の購入費補助(上限1万円程度)や、高齢者・障がい者世帯向けの無料取り付けサービスを実施しています。「お住まいの市区町村名+家具転倒防止 助成」で検索してみてください。予算がなくなり次第終了の場合が多いので、早めの申請をおすすめします。
Q. 賃貸で家具を固定したら退去時に修繕費を取られる?
突っ張り棒・耐震マット・ストッパーなど、穴を開けないグッズなら原状回復の心配はありません。粘着テープ式を使う場合も、先に養生テープを貼ってから使えば壁紙を傷めずに剥がせます。
Q. 耐震マットは何年で交換すればいい?
メーカーの推奨交換目安はおおむね5〜7年です。硬くなっていたり変色していたりしたら早めに交換しましょう。年に1回は触って確認すると安心です。
Q. 家具固定は何からやればいい?
寝室の背の高い家具から始めるのが正解です。就寝中は逃げる余裕がないため、被害が最も大きくなる場所を優先しましょう。次に出入り口付近の家具、その次にリビングの順で進めると効率的です。
まとめ:今日からできる転倒防止の優先順位

家具の固定は、寝室と出入り口の背の高い家具から始めるのが正解です。すべてを一度にやる必要はありません。
優先順位をまとめると、次の流れになります。
- まず家具を減らす・置き方を見直す(寝室と出入り口を最優先)
- 固定はL字金具で壁の下地にネジ止めが一番強い
- 賃貸など穴を開けられないなら突っ張り棒+ストッパー/マットの合わせ技
- 扉は耐震ラッチ、ガラスは飛散防止フィルムも忘れずに
家具の固定は、お金も手間も少なく、それでいて命を守る効果がとても高い備えです。防災グッズを揃えるのと合わせて、ぜひ今日から取り組んでみてください。

全部を一度にやらなくていいぜ。まずは寝室の背の高い家具を1つ、今日固定するところから始めようぜ!




